脳外科医竹田くん事件の真相と2026年現在の公判・処分を徹底追跡
2023年、ブログサービス「はてなブログ」に突如投稿され、医療関係者のみならずSNS全体を戦慄させたWEB漫画『脳外科医 竹田くん』。一見デフォルメされた親しみやすいタッチでありながら、描かれていたのは手術手技の未熟な医師が引き起こす凄惨な医療過誤の連鎖と、隠蔽に走る地方市民病院の生々しい人間模様でした。あまりの生々しさに「医療ホラー」「怪奇譚」と評された本作ですが、その背景には兵庫県の公立病院で実際に起きた深刻な医療事故が存在します。
ネット上の単なる暴露劇にとどまらず、2026年2月にはついに業務上過失傷害罪を問う刑事裁判の初公判が神戸地裁で開かれるなど、事件は司法の場でも大きな節目を迎えました。本稿では、大手報道各社の取材資料や公開された事故調査報告書、法廷での証言を徹底検証し、モデルとされる医師の実像、現在の勤務先や処分状況、そしてなぜ痛ましい事故を防ぐことができなかったのかという組織的病理までを余すところなく報告します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:漫画『脳外科医 竹田くん』は兵庫県赤穂市民病院で2019〜2020年に多発した実在の医療事故を基に被害者親族によって描かれた告発手記である。
- 要点2:モデルとされる松井宏樹医師はその後大阪府の吹田徳洲会病院等に勤務。2026年2月には業務上過失傷害罪をめぐる刑事裁判の初公判が神戸地裁で開始された。
- 要点3:日本の現行制度では刑事判決確定前の医師免許剥奪は極めて困難であり、医療安全のガバナンスと情報開示のあり方に重い教訓を残している。
【実話の真相】漫画『脳外科医竹田くん』のモデル医師と赤穂市民病院の連続医療事故
インターネット上で大きな関心を集め続ける漫画『脳外科医 竹田くん』。その最大の衝撃は、描かれた信じがたい医療過誤の数々がほぼすべて兵庫県赤穂市民病院で起きた実話に基づいているという点にあります。原作ブログ「脳外科医 竹田くん」は、2020年に同院脳神経外科で医療事故に遭った高齢女性の親族が「二度と同様の悲劇を繰り返してはならない」という強い憤りと願いから開設したものでした。
同院の外部医療事故調査委員会による公式報告書などによると、モデルとなった松井宏樹医師は2019年7月に同院に赴任。直後から手術手技や判断力に関する懸念が院内から上がっていたにもかかわらず執刀を継続し、赴任からわずか1年足らずの間に少なくとも8件の医療事故・過誤を引き起こしたと認定されています。
漫画内でも鮮烈に描かれた代表的な事例には、次のような目を疑う重大事故が含まれていました。
- 頸椎手術での神経損傷:頸椎症性脊髄症の手術中、ドリルによる骨削開の際に脊髄を損傷し、患者に重い四肢麻痺が残った事例。
- 腰椎手術での神経切断事故:腰部脊柱管狭窄症の手術において、本来切除してはならない神経根を電気メス等で誤って切断。患者は術後に両下肢完全麻痺となり、車椅子生活を余儀なくされた。
- カテーテル挿入時の大血管損傷:透析用カテーテルを誤穿刺し、大出血を引き起こして患者が死亡したケース。
- 脳動脈瘤クリッピング術での穿通枝切断:動脈瘤を挟むクリップの操作ミスにより、脳の血流を支える重要血管(穿通枝)を巻き込み、広範な脳梗塞を発症させた事例。
読者が受けた最大の戦慄は、医療技術の稚拙さだけでなく、術後に患者が急変しても「自分に落ち度はない」「手技は完璧だった」と言い張る主人公・竹田くんの異常な心理描写でした。しかし、法廷資料や市議会での追及記録を照合すると、実際の臨床現場でもこれと酷似した言動が同僚医師や看護師らによって多数目撃されていたことが明らかになっています。

【タイムライン検証】事件発生から2026年刑事裁判初公判までの経緯まとめ
赤穂市民病院での医療事故が発覚してから、司法の場で刑事責任が追及されるまでには6年以上の年月を要しました。医療事故において警察が介入し、起訴に至るケースは全国的にも極めて異例です。被害者遺族による刑事告訴の理由には、病院側の初期対応に対する不信感と、真相の隠蔽に対する強い危機感がありました。
事件の重大性と現在に至る法的手続きの流れを客観的に把握するため、事故発生から2026年現在の公判状況までを整理した比較データは以下の通りです。
| 項目 | 本件(赤穂市民病院事件)のデータ | 一般的な医療過誤の相場・基準 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 発生時期・期間 | 2019年7月〜2020年2月(約8ヶ月間で8件多発) | 1人の執刀医で数年に1件あるかないか | 異常な頻度であり、初期段階で執刀停止措置をとるべきだった組織の怠慢 |
| 民事損害賠償訴訟 | 赤穂市と医師に対し数千万円規模の賠償請求(和解および判決) | 後遺障害等級1級の場合、5,000万〜1億円前後 | 赤穂市側は過失を認め賠償に応じたが、個人の道義的責任は別問題として残存 |
| 刑事手続きの進捗 | 業務上過失傷害罪で在宅起訴、2026年2月に神戸地裁で初公判 | 医療事故での立件・起訴率は1%未満(極めて低率) | 刑事責任の追及に踏み切った検察の判断は、過失の明白性と被害の深刻さを証明 |
| 医師免許の行政処分 | 現時点で未処分(刑事判決確定後の医道審議会待ち) | 禁錮以上の刑が確定した段階で免許取消または業務停止 | 制度のタイムラグにより、問題視された医師が他院で診療継続できる構造的欠陥 |
被害者側が警察へ告訴状を提出した背景には、病院側の「インシデント報告の形骸化」がありました。本来なら1〜2件目の重大事故が発生した時点で病院執行部が緊急カンファレンスを開き、執刀権を取り上げるべきでした。しかし、脳神経外科の診療報酬を維持したいという経営的思惑や、他大学医局からの派遣医師への過度な遠慮がブレーキを鈍らせ、結果として次なる被害者を生み出し続けたのです。
【現在の勤務先と足取り】吹田徳洲会病院への転職騒動から2026年の現況
赤穂市民病院で事実上の執刀禁止処分を受け、2021年に同院を依願退職した松井医師は、その後どのような足取りをたどったのでしょうか。インターネット上で特に激しい炎上を巻き起こしたのが、大阪府の「吹田徳洲会病院」への転職でした。
2022年から2023年にかけて、同医師が吹田徳洲会病院の救急部門や総合診療部門、リハビリテーション科に在籍していることがWebサイトの医師一覧や関係者の告発によって明るみに出ました。これを知ったネットユーザーや医療関係者からは、「あれだけの事故を起こしておきながら、何食わぬ顔で大病院に勤務しているのは許されない」「救急医療の現場で再び誤診や手技ミスが起きるのではないか」と強い懸念と抗議の声が殺到しました。
当時の報道や医療法人側の動向によると、同院側は採用時に赤穂市民病院でのトラブルの詳細を把握していなかった可能性が指摘されています。批判が沸騰した後、同医師の名前は公式ホームページから削除され、診療現場の最前線からは外れる形となりました。
2026年現在、同医師は刑事被告人として法廷に立っており、外科的な執刀を行う医療機関からは実質的に排除された状態にあります。一部の地域医療機関での当直や非外科的な代診業務を行っているとの目撃談も散見されますが、刑事裁判の公判が進行している現在、医療従事者としての活動は極めて限定的にならざるを得ないのが実情です。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|医師免許剥奪の壁
ネット上の掲示板やSNSでは、「なぜこれほど明白な医療過誤を繰り返した人物の医師免許が剥奪されないのか」「厚生労働省は何をしているのか」という怒りの声が絶えません。しかし、ここには日本の法制度と行政処分の厳格な壁という盲点が存在します。
医師法第7条に基づき、医師に対する免許取消や業務停止命令を下すのは厚生労働省の「医道審議会」です。しかし、医道審議会が処分を下す対象の多くは、裁判で禁錮以上の刑が確定した者や、明白な薬物乱用・贈収賄などの刑事犯罪を犯した者に限られています。
医療行為中の技術的ミスによる医療過誤は、法的には「過失」として扱われ、故意の犯罪行為とは明確に区別されます。民事裁判で過失が認められ数千万円の損害賠償が命じられたとしても、民事上の責任と行政処分は直結していません。そのため、刑事裁判で有罪判決(禁錮刑以上など)が確定するまでは、行政が一方的に医師免許を剥奪することは法的に困難な建て前になっているのです。
さらに、日本には医師免許の更新制度や「再教育・技術評価制度」が存在しません。一度免許を取得すれば、臨床能力が著しく欠如していても、自発的に返納しない限り法的には「医師」であり続けます。この制度の不備こそが、赤穂市民病院から吹田徳洲会病院へと医師が移動できてしまった根本的な原因です。
【現場と被害者の肉声】はてなブログ告発と被害者の会が訴え続けた現実
『脳外科医 竹田くん』の連載は、被害者とその家族にとって最後の手段でした。院内での事故調査委員会は設置されたものの、結論の公表は先延ばしにされ、病院執行部からの心ある謝罪や再発防止策は後手に回り続けました。
ブログの作者であり、重い後遺障害を負わされた被害女性の親族は、当時の思いを次のように吐露しています。
「カルテの開示請求を行っても黒塗りが多く、病院側はこちらの質問に正面から答えようとしませんでした。私たちの苦しみは誰にも届かず、なかったことにされる。このままでは同じ医師の手によってまた新しい犠牲者が出る。社会に事実を知ってもらうには、漫画という形で世間に問いかけるしかありませんでした」
作品が公開されると、現役の脳神経外科医や看護師たちから「漫画に出てくる手術記録の記述は専門家から見ても異常」「医療機器の使い方が根本的におかしい」「これはフィクションではなく本物の告発だ」と、専門的知見に基づいた賛同と拡散が一気に広がりました。これに呼応するように、他の被害者遺族も連携を深め、「被害者の会」的な運動を通じて警察への告訴状提出と署名活動を展開。孤立無援だった遺族の叫びが、Webメディアを通じて巨大な社会的圧力へと変貌を遂げたのです。
【プロの結論】閉鎖的な医療組織が抱える病巣と私たちが持つべき自衛の判断基準
医療安全と組織心理学の観点からこの事件を分析すると、問題の本質は一人の未熟な医師のパーソナリティ障害だけにとどまりません。地方公立病院の医師不足、医局支配による人事の硬直化、そして「医師が医師を裁けない」という医療界特有の自浄作用の欠如が複合的に絡み合っています。
組織心理学において「沈黙の共謀」と呼ばれる現象があります。同僚の技術に危険を感じていても、「医局との関係を壊したくない」「波風を立てて医師に辞職されたら当直体制が崩壊する」という組織防衛の心理が働き、内部告発が握りつぶされてしまう構造です。赤穂市民病院でも、看護師たちが「あの医師の手術にはつきたくない」と涙ながらに訴えていたにもかかわらず、管理職医師らは事態を直視しませんでした。
私たち一般市民が医療事故から身を守るために、どのような基準で病院や医師を見極めるべきなのでしょうか。受診・手術を検討する際の具体的な判断基準を提示します。
- 信頼できる医療機関の条件:
- 日本脳神経外科学会などの学会専門医・指導医が複数名在籍し、カンファレンスが日常的に機能している。
- インシデント事例や医療安全報告書を公式ホームページ等で定期的に情報開示している。
- 手術のリスクや合併症の発生頻度について、主治医が具体的な数値と過去の実績をもとに平易な言葉で説明してくれる。
- 慎重になるべき・セカンドオピニオンを必須とすべき条件:
- 担当医が1人しかおらず、他科や上級医とのチーム医療体制が確認できない。
- 術前のインフォームドコンセントで「絶対に治る」「簡単な手術だから心配ない」とリスクを軽視する発言をする。
- 他院での相談(セカンドオピニオン)を申し出た際に、不快感を露わにしたり拒否的な態度をとる。

【脳外科医 竹田くん】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:モデルとされる医師は現在どうしているのか?医師免許は剥奪されたのか?
A1:2026年現在、モデルとされる松井宏樹医師は業務上過失傷害罪の刑事被告人として公判中です。日本の現行制度では、裁判で刑が確定する前に厚生労働省(医道審議会)が免許剥奪などの処分を下すことは極めて稀であり、現時点では医師免許そのものは失効していません。ただし、社会的な厳しい批判と裁判対応のため、外科手術を執刀する立場からは完全に退いています。
Q2:なぜ民事裁判だけでなく「刑事告訴」に踏み切ったのか?
A2:病院側や医師本人による事故原因の説明が極めて不誠実であり、責任の押し付け合いや隠蔽の動きが見られたためです。民事裁判での金銭的解決だけでは真相が闇に葬られ、再発防止につながらないという遺族の強い危機感から、業務上過失傷害罪での刑事告訴が行われ、警察・検察による本格的な捜査と在宅起訴に至りました。
Q3:原作となった「はてなブログ」の漫画はどこまでが実話なのか?
A3:人物のビジュアルや一部の会話演出はフィクションの形式をとっていますが、発生した医療事故の手術手技、患者の症状推移、カルテの改ざん疑惑、院内事故調査報告書の内容などは、ほぼすべて赤穂市民病院で起きた客観的事実と一致しています。医療事故調査の専門家や法廷に提出された証拠資料に極めて忠実に描かれた「実録ドキュメンタリー」といえます。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
『脳外科医 竹田くん』というWEB漫画が投げかけた波紋は、単なるネット上のゴシップにとどまらず、日本の医療安全管理体制や法制度の限界を白日の下に晒しました。たった1人の不適格な医師が組織に紛れ込み、その暴走を止めるチェック機能が麻痺したとき、どれほど恐ろしい惨劇が引き起こされるかを本事件は雄弁に物語っています。
2026年に始まった刑事裁判の行方は、今後の医療事故における個人の刑事責任と病院の組織責任の境界線を定める極めて重要な判例となるはずです。密室になりがちな手術室のブラックボックスをどう透明化し、患者の命を守るセーフティネットを社会全体でどう構築していくのか。司法の判断とともに、医療界全体の抜本的な情報開示と自浄作用が今まさに試されています。 (出典: 脳外科医 竹田くん(Yahoo!ニュース))